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「THEATRE DE LA MODE-モードの劇場展」は1945年から1946年にかけてパリを皮切りに6ヶ国で開催された人形衣装展。戦後の物資
不足で生地をふんだんに使うことが出来ないデザイナーたちは、70cm大のワイヤーマネキンにニューモードを着せて紹介した。衣装
のみならず、帽子、靴、手袋、バッグ、刺繍、カツラに至るまで職人によって最新モードのミニチュア版が制作され、さらに人形に
合わせた比率で本物と同じデザインの宝飾品が作られたり、ジッパーやボタン、ポケットも本物同様の機能性を持たせるなど衣装の
ディテールにも凝りに凝った。そしてそれらの着飾った人形は、ジャン・コクトー、クリスチャン・ベラールといった気鋭のアーテ
ィストによって制作された劇場風のセットの中に展示され、エレガントでゴージャスな世界を創り出した。この人形衣装展は戦後の
人々の心を捉え各地で話題を呼び大成功を収めました。そんな「テアトル・ドゥ・ラ・モード」を再びパリで開催するべく、当時マ
ネキンをパリ・クチュール協会より寄贈されていたワシントン州・メリーヒル美術館、リンダ・ブラディ・マウンテン館長らスタッフ
によって130体のマネキンは修復、紛失していたセットは復元され、45年振りに見事に甦りました。戦後のクチュール・ファッショ
ンの真髄をミニチュアサイズのモード劇場として再現し、パリ・モード美術館、ニューヨークのメトロポリタン美術館を巡回し、東京
での開催に至りました。